上級編 回答

Q11.遺伝子組換え作物と自分の畑が交雑したら、種子会社に賠償請求できる

A11.むしろ、特許違反で遺伝子組換え種子会社に訴えられる例が多い

遺伝子組み換え技術による種は、種子を調査すれば、それが遺伝子組み換えの種かどうかを判別することができます。遺伝子組み換えの種は”特許”と取得しているため知的財産権により守られます。生産者は、種を購入する際に、契約書を取り交わす仕組みになっています。実際の契約書がどのようなものか、公開している人がおられますので、みてみましょう。 「ラウンドアップ(モンサント社除草剤)レディ(耐性)キャノーラ(ナタネ)テクノロジー利用同意書項目と条件」

 

4、生産者はモンサントに対し、キャノーラが栽培されている生産者の全ての所有地または借地の査察とサンプル採取、試験の権利を認め、この合意書の各項への同意後3年間モンサントが生産者のキャノーラ畑と穀物貯蔵庫の調査を行う権利を有することを承諾する。全ての査察は適切な時期に、可能ならば生産者の立会いのもとで行われる。生産者は又、要求に応じてキャノーラが植えられた全ての畑の位置情報を以後3年間提供することに同意する。生産者はモンサントがこの査察とサンプル採取、試験の権利を行使するために必要な全ての許可権限をもち、あるいは取得できる。」

 

「5、生産者がもしこの同意書の項目や条件のどれかを破った場合、その生産者は将来における如何なる同意の権利も剥奪され、同意書の効力はモンサントの判断で直ちに停止される。この同意書に規定されていない如何なるラウンドアップ・レデイー・キャノーラの種子の使用においても、生産者はモンサントがラウンドアップ・レデイー・キャノーラ種子の支配を失う重大なリスクを負い、モンサントの損害を正確に決定することが不可能なことを認める。従って生産者は以下の事項に同意する: 

a) この同意書でカバーされないラウンドアップ・レデイー・キャノーラを植えた場合、1エーカー当たり15ドルをモンサントに支払う。

b) 不法なラウンドアップ・レデイー・キャノーラ由来のラウンドアップ・レデイー遺伝子を含む全ての種子を生産者の負担で、モンサント又はその代理人に送付すること。又は、モンサントの判断で生産者は不法なラウンドアップ・レデイー・キャノーラ由来の遺伝子を含む全ての作物を破壊すること。

c) もし生産者がこの同意書の項目や条件に違反し、ラウンドアップ・レデイー遺伝子を含む何らかの種子を販売又は譲渡、移転、運搬した場合、生産者はモンサントに対し生産者が販売、譲渡、移転、運搬による種子を使って栽培できる面積に対し1エーカー当たり15ドルを支払うか、あるいは販売、譲渡、移転、運搬によって得た金額に等しい金額のうち、大きい方の額を支払わなければならない。

d) 生産者がこの同意書の項目と条件を破った結果生じた、全ての裁判費用と弁護士及び依頼人にモンサントが支払った費用を含む全ての費用を、生産者はモンサントに支払うこと。

 

たまたま遺伝子組換えではないと思って買った種が、汚染された種であった場合でも、訴えられる可能性があり、敗訴する可能性があります。実際にカナダのナタネ農家シュマイザーさんはモンサント社に敗訴しています(記事判決)。

今後もモンサント社は農家を訴えていく方針です。しかし、この裁判からは、たくさんのことが学べます。今後世界中に蔓延していく遺伝子組み換え作物に対し、農家と消費者が身を守るためには、どのような法整備を支援すればよいのか、日本の知的財産権を見直しつつひとつのヒントになるでしょう。

 

風媒花であるトウモロコシなど、花粉が周囲に飛び散ります。遺伝子組み換え作物による”汚染”として逆に訴えることができる気がするのですが、実際には逆のパターンが多いようです。たとえモンサントを訴えたとしても一度汚染されてしまった種を元に戻すことはできません。原状復帰はできないのです。物理の法則からして、どんどん拡散していくのです。人間には収束する力がないのです。一度はじまってしまったら止められないものなのです。

 

 

 

Q12.遺伝子組み換え種子会社の種子を買っても、除草剤は他社から買ってよい
A12.種子会社の種子を購入すると、他社の除草剤を買うと契約違反になる

先ほどご紹介した「ラウンドアップ(モンサント社除草剤)レディ(耐性)キャノーラ(ナタネ)テクノロジー利用同意書項目と条件」 こちらの2番目の項目に、次のようにあります。

「2、生産者は購入した全てのラウンドアップ・レデイー・キャノーラ種子の利用にあたって、ラウンドアップ・ブランド表示のある除草剤のみを購入し使用することに同意する。生産者はラウンドアップ・ブランドの除草剤とこのテクノロジー利用同意書の両方を各自の小売業者からパッケージで購入すること。種子購入費用は、モンサントのラウンドアップ・レデイー・キャノーラ・サービス・ポリシーに従い、実際の栽培面積を取り決めた日以後は払い戻しが出来ない。」

このように、とてもたくさんの制約を持たせた契約書になっており、違反した人に対しては、損害賠償をしていくという姿勢でのぞむのです。

余談ですが、ラウンドアップの主成分、グリホサートは特許が切れたので安価な製品が出回っているほか、耐性を持つ雑草が増えました。そこで、経団連元会長の住友化学100%子会社のValent U.S.A.とモンサント社が長期的な協力関係をむすび、ValentU.S.A.の持つ除草成分を添加した更に強力な薬剤の販売を行なっています。

 

 

 

Q13.防虫能力のある遺伝子組み換え作物なので、農薬の使用量は少なくなる
A13.殺虫剤は減るが、除草剤が増えるので、結果的に農薬使用量がへるとは限らない。

Q14.遺伝子組み換え作物を作っている企業は、複数の海外のアグリバイオ企業である
A14.日本のいくつかの企業も、遺伝子組み換え作物の種子を研究している

日本では民間企業よりも研究所や大学がメインの状況である。

花き

  • (株)サントリーフラワーズ

稲 

  • 三和化学研究所
  • 日本製紙
  • 農業生物資源研究所
  • 名古屋大学生物分子応答研究センター
  • 理化学研究所
  • 慈恵医科大学
  • 東北大学
  • 農業生物資源研究所
  • 宮城県農業園芸総合研究所
  • 植物工学研究所
  • 生物工学研究センター(財団法人・岩手県出資)
  • 農業技術研究機構作物研究所(国立独立行政法人)

 

トウモロコシ

  • 農業技術センター(国立独立行政法人)

 

しかし、農作物ではなく添加物やセルフクローニング※1、ナチュラルオカレンス※2又は高度精製品※3に該当する物に関しては、たくさんの企業が参入している状況である。

  • 江崎グリコ株式会社
  • 山口県産業技術センター
  • 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
  • 天野エンザイム株式会社
  • 旭化成株式会社
  • ナガセケムテックス株式会社
  • KelcoBiopolymers
  • 味の素株式会社
  • 長瀬産業株式会社
  • 協和発酵バイオ株式会社
  • ニュートラスイートカンパニー

 などである

 

※1:組換えDNA技術によって最終的に宿主に導入されたDNAが、当該微生物と分類学上の同一の種に属する微生物のDNAのみである微生物と判断されたものをいう。
※2:組換え体と同等の遺伝子構成を持つ生細胞が自然界に存在する微生物と判断されたものをいう。
※3:遺伝子組換え微生物を利用して製造された添加物のうち、アミノ酸等の最終産物が高度に精製された非タンパク質性添加物の安全性評価の考え方(平成17年4月28日食品安全委員会決定)に従って評価されたものをいう。

 

 

 

Q15.EUは規制が厳しく、流通も開発もしていない。

A15.流通はほとんどしていないが、大手遺伝子組換え種苗メーカーがある。

1999年にEUは、安全面への配慮から組み換え作物の栽培や流通の新規認可を凍結。2003年5月米国ブッシュ大統領は、遺伝子組み換え(GM)食品・作物に関するEUの規制を協定違反としてWTO提訴した。2006年9月にEUが承認したGM製品の禁止を続ける6つのEU諸国(オーストリア、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、ルクセンブルグ)のセーフガード措置のSPS協定違反が認められたが、消費者が全くGM作物を受け付けず、流通がほとんどない。

では、開発という点ではどうであるか。例えば安全性審査の手続を経た旨の公表がなされた遺伝子組換え食品及び添加物一覧をみてみましょう。

  • BASF(ビーエーエスエフ、LSE: BFA)世界最大の独・総合化学メーカー
  • Bayer Crop Science 独・総合化学および製薬会社
  • シンジェンタ(Syngenta AG)  スイス・多国籍企業 
  • KWS SAAT AG 独・農業用植物の種苗業者
  • novozymes デンマーク・酵素メーカー

食品でも添加物でもないという範疇(例えば触媒のような働きをするものなど)

  • DSM オランダ・ライフサイエンス及び、マテリアルサイエンスのグローバル企業
  • Chr. Hansen デンマーク・食品成分・添加物メーカー
  • F. Hoffmann-La Roche スイス・世界的な製薬・ヘルスケア企業

 

このように、食べない・買わないけれど、南北アメリカ大陸およびアジア向けに作っているのがEUの現状である。今の時点では確かに自分の口には返ってこないように気を付けているのだろう。しかし汚染は広がっていく。結局は自分の首を絞めることを考えてもらいたい。